山口修司の中辛鉄道コラム”ぶった斬り!!”

新進気鋭の交通評論家が、日常の鉄道ニュースに対し、独自の視点で鋭く切り込みます。

長崎新幹線、そこまでして造りたいか!?

九州新幹線長崎ルート長崎新幹線)は、トラブル続きのフリーゲージトレイン(FGT)計画を先送りし、新幹線と在来線を乗り継ぐ「リレー方式」で予定通り2022年度までに開業させる方向になった。

とは、今朝の朝日新聞デジタル

長崎新幹線、22年度開業堅持へ 途中乗り換え方式か

とも

現行の在来線特急からの時短効果はわずか10分程度というから、嗤うしかありません。そんな短時間は、ダイヤの組みようで、如何様にも相殺されてしまうからです。10分程度の時間短縮のために、1000億円単位の投資をするなど、馬鹿げています。

FGTをあきらめたくない国、早期開業にこだわる長崎県、負担増を警戒する佐賀県

3者の利害が絡み合った末の苦肉の策

といいます。はっきり申し上げますが、FGTは、そんな簡単に実用化はできません。10年単位の月日が必要です。何しろ、車両運行の要である車軸にイノベーションの手を入れようというのです。そのような破壊的な技術を安全に実用化するのに、たった数年の開発延長で済むはずがありません。

また、「長崎新幹線は「全線フル規格」で進めるべき」との梅原淳氏(鉄道ジャーナリスト)の意見には、賛同できません。長崎本線の特急は、途中多くの駅に停車します。ノンストップで時短効果の威力を発揮するフル企画の新幹線は、長崎本線には向かないのです。ましてや、途中に在来線を挟んでの整備となると、ますます新幹線の整備に疑問符がつきます。整備新幹線は、在来線の経営分離や、沿線都市間の格差拡大など、マイナスの面もあります。とにかく開業時期を死守する姿勢は、目が眩んでいるとしか言いようがありません。