山口修司の中辛鉄道コラム”ぶった斬り!!”

新進気鋭の交通評論家が、日常の鉄道ニュースに対し、独自の視点で鋭く切り込みます。

北陸新幹線延伸は、湖西ルート以外、”ありえない”

今日の日経朝刊は、経済面トップが整備新幹線の記事です。
北陸新幹線延伸 5案乱立 JR西、小浜・京都ルート提示 利害巡り綱引き必至

鉄道ネタが日経紙面のトップになるのはかなり珍しいことなので、できるだけ簡潔に解説します。相変わらず、「新幹線は地域振興の起爆剤」と思われているようで、とても嘆かわしいです。新幹線は、高速鉄道計画ですから、速達性が何よりも重要です。

他のこと(経済効果、〈地方創生〉)などは、二の次三の次。米原ルートと湖西ルート以外は、この大原則に従えば、即座に破棄されるべきことは、小学生でもわかります。小浜経由ルートがなぜ最短ルートになるのかは、からくりがあるようです。舞鶴経由ルート(”西田氏案”)に至っては、苦笑するしかありません。何のために新幹線を建設するのか、西田昌司氏は目的を取り違えていると言わざるを得ません。

ちなみに、北陸ー関西間は、新幹線かと錯覚するほどの高速列車(特急「サンダーバード」)が運行されています。途中経由する琵琶湖の西側を走る湖西線は、全線が高架でカーブも少ない優良路線です。これは、湖西線が、新幹線に準ずる機能を発揮できるように建設された路線だからです。北陸ー関西間で高速鉄道を整備するなら、湖西線を活用すべきなのです。

速達性では米原ルートという手もあるのですが、現状の東海道新幹線に、他の路線の便を走らせる輸送容量の余裕は全くありません。したがって、新幹線を作るなら(そもそもこの前提も要検証なのですが)、湖西線を新幹線も走れるようにし、その他の区間を新規路線として建設すべきです。「横風が走行の妨げ」? そんなの、防風壁を設置すれば済む話です。

【ちなみに…】
整備新幹線問題に関して、ご関心のある方は、以下拙稿をお読みください。古い記事ですが、問題の本質は全く変わっていません。

「東北新幹線新青森開業に寄せて」(2010、長文注意)

【2.3追記記事】
北陸新幹線の延伸ルート、「小浜-京都ルートなら湖西線は並行在来線を検討」滋賀県知事

【2.4追記記事】
北陸新幹線、「関空まで」延伸要望 関経連、検討委で